呼吸器胸腔鏡手術研究会
副会長 森川利昭
副会長 森川利昭
胸腔鏡手術は1991〜1992年頃世界中で同時多発的に始まりましたが,進取的なわが国の呼吸器外科医は率先して積極的に取り組んできました。
胸腔鏡手術が果たした最大の成果は,呼吸器外科手術における低侵襲性への関心を高めたことです。いまや日常の報道に始まり,インターネットを利用した病院探し,さらに保険診療報酬における優遇にまで示されるように,時代は胸腔鏡手術に代表される低侵襲手術を必要としています。
これまでに問題がなかったわけではありません。その一つは手術そのものの難しさです。モニターに映る内視鏡の画像下に遠隔操作に近い手術を行うことの技術的なハードルは高く,比較的容易な手術から高度なものまで一歩一歩学ぶ必要があります。もう一つは取り組みへの施設間の温度差です。開胸手術の実績の大きい施設でも新しい胸腔鏡手術への取り組みに消極的なことがあり,同じ施設内でも若手は胸腔鏡手術の習得を希望しているのに,上司が積極的でないため習得の機会を得られないこともありました。
呼吸器胸腔鏡手術研究会は平成17年12月7日に呼吸器胸腔鏡クラブから組織替えをして新しく誕生しました。呼吸器外科領域における胸腔鏡手術に関する,わが国で唯一の専門家および専門家を目指す者の全国的な組織です。私たちは同時に地域や所属施設,年令などの区別なく,全ての呼吸器外科医に胸腔鏡手術を学んでいく場を提供して行きたいと考えています。
胸腔鏡手術をさらに高めようとする全国の専門家諸兄,より高度な手術を身に付けようとする諸兄,これから始めようとする諸兄,みんなで手を携えて胸腔鏡手術を学んでいきましょう。